Q1: 登記識別情報とは何ですか?
A:昔で言う権利証のことです。不動産登記法の改正にともない、従来の登記済証(権利証)から
登記識別情報にかわりました。12ケタの英数字の暗号です。
この暗号が従来の権利証の代わりとなりますので、非常に重要です。第三者にメモを取られたり、
コピーを取られたりすると、権利証が盗まれたのと同じような意味を持ちます。
発行されたときは部分にシールが張られていますが、一度はがすと貼りなおせませんので、必要な時
(売買、借入等)が来るまで、はがさないで保管しておくことをお勧めします。
Q2:登記識別情報を無くしてしまいました。再発行してもらえますか?
A:残念ながら、登記識別情報の再発行はできません。
ただし、登記識別情報を無くしたからと言って、今後登記ができなくなったりすることはありません。
事前通知制度や報酬は発生しますが、資格者代理人の本人確認情報により登記は可能です。
Q3:不動産を購入しましたが、登記申請前に売主が亡くなってしまいました。
A:買主様を登記権利者、お亡くなりになった売主様の相続人全員を登記義務者として所有権移転登記を
することになります。売主様の相続人全員が登記義務者となる事にご注意ください。
Q4:不動産を売却しましたが、登記申請前に買主が亡くなってしまいました。
A:売主様を登記義務者、お亡くなりになった買主様の相続人を登記権利者として、お亡くなりに
なった買主様名義で所有権移転登記をすることになります。
Q5:主人が亡くなり、団体信用生命保険で住宅ローンが完済されたのですが。
A:住宅ローンの返済が終わったことにより、抵当権は当然にその効力を失います。
ただし、抵当権抹消登記をしない限り、その抵当権設定登記は登記事項証明書上残り続けます。
金融機関から預かった書類の中にある、代表者事項証明書には、発行日より3か月という期限がございます。
期限を過ぎると使用できず、ご自分で取得する必要が出てきますので、早めの手続きをお勧めします。
Q6:住宅ローン全額の返済が終わりました。銀行から書類をもらったのですが。
A:この場合、登記手続きの順番としては、①所有権移転登記②抵当権抹消登記の順番で登記することになります。
①で不動産の名義人となった方が②の抵当権抹消登記の申請人となります。
Q7:不動産を購入したのですが、税務署から贈与税がかかると言われました。
A:不動産を購入した際に、夫婦で一緒に資金を出したにもかかわらず、どちらか片方の単独名義にしていませんか?
そうであれば、贈与税を回避するためには、所有権の更正登記を行う必要があります。
ただし、この場合、前所有者の協力や住宅ローンを組んでいるのであれば、金融機関の協力も必要となりますが、その協力が得られないことが多々あります。
その場合には、「真正な登記名義の回復」を登記原因とした所有権の移転登記を行うことになります。
Q8:亡くなった父名義の不動産を売却したいと考えていますが可能ですか?
A:亡くなった父親名義のまま、不動産を売却することはできません。相続人名義に所有権の移転登記(相続登記)を行う必要があります。
Q9:亡くなった父名義の不動産を担保に借入をしたいのですが可能ですか?
A:こちらもQ8と同じように、亡くなった父親名義のまま、不動産を担保にすることはできません。相続人名義に所有権の移転登記(相続登記)を行う必要があります。
Q10:相続財産の中に未登記の建物があるのですが。
A:この場合、建物の表題部登記と所有権保存登記をする必要があります。表題部登記については土地家屋調査士が、所有権保存登記は司法書士が行うことになります。
Q1:発起人・取締役が1人でも株式会社の設立は可能ですか?
A:発起人・取締役が1人でも株式会社の設立は可能です。
Q2:資本金1円でも株式会社が作れるというのは本当ですか?
A:本当です。しかし資本金の額は登記されますし、取引先や金融機関から信用されないことも考えられます。
ある程度の金額はあったほうが良いと思います。
Q3:自宅を本店として会社の設立はできますか?
A:可能ですが、賃貸物件の場合には事業所として使用できるかどうか、大家さんに確認してください。
無断で事業所として使うと、無益な紛争が起きることがあります。
Q4:誰でも取締役になれますか?
A:取締役になれない方は次のような方です。
・法人
・成年被後見人または被保佐人
・会社法、中間法人法、証券取引法、民事再生法、外国倒産処理手続きの承認援助に関する
法律、会社更生法、破産法に規定される罪を犯し、刑に処せられその執行を終わりまたは刑を
受けることがなくなった日から2年を経過しない者
・上記以外の犯罪により禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受け
ることがなくなるまでの者。
Q5:事業目的は実際にやろうとするもの以外は登記できませんか?
A:将来的にやろうと思っていることなどでも登記は可能です。
しかし、あまりにたくさん事業目的があると、登記事項を見た方が、何をしている会社なのかわからないということもあります。
Q6:会社の目的は具体的に記載しなくても大丈夫ですか?
A:確かに会社法施行後、会社の目的の具体性については審査対象ではなくなりましたが、許認可を受ける事業等の場合には決まった文言が必要です。
Q7:類似商号の調査は必要なくなったのですか?
A:類似商号の規制は廃止されましたが、同一商号同一本店の登記は禁止されていますので、今後も商号の調査は必要です。また、不正競争防止法の問題もありますので、こちらにも注意が必要です。
Q8:役員の任期が10年まで伸ばせると聞いたのですが本当ですか?
A:株式の譲渡制限のある株式会社では可能です。だからと言って常に任期を10年とするのはあまりお勧めできません。
Q9:合同会社とは何ですか?メリットは?
A:合同会社は、会社法施行により認められた会社形態です。合同会社のメリットとしては、
①出資者は出資額を限度に責任を負う有限責任であること
②経営や利益分配の自由度が高い
③出資者=経営者なので意思決定が迅速にできる
④設立費用が株式会社に比べて安い 等
Q10:では、合同会社のデメリットは?
A:合同会社のデメリットとしては、
①株式会社に比べ知名度が低い
②経営や利益分配の自由度が高い反面、そこで揉める可能性がある 等
Q1:誰が相続人になるのですか?
A:被相続人(亡くなった方)の親族構成にもよりますが、大きくわけると、次のようになります。
まず、配偶者と子供が2分の1ずつの割合で相続します。(子供が数人いる場合は2分の1を按分します)
これが第1順位です。次に、配偶者がいるが、子供がいない場合は、配偶者と被相続人の親が相続します。
割合は、配偶者が3分の2、親が3分の1です。(両親が健在の場合は、3分の1を按分します)これが第2順位です。
次が、配偶者がいるが、子供も親もいない場合は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続します。
割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。(兄弟姉妹が複数の場合は、4分の1を按分します)これが第3順位です。
配偶者がいない場合は、子供、親、兄弟姉妹が順位に従って、全て相続します。
なお、子供や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は、亡くなった子供や兄弟姉妹の子供が人数で按分します。
これを代襲相続と言います。子供の代襲相続人もなくなっている場合は、さらにその子供が代襲相続人となります。
これを再代襲といいます。が、兄弟姉妹には再代襲はありません。
Q2:相続登記はしなければいけませんか?
A:相続登記をしなければ、法律で罰せられるということはありません。
しかし、相続した土地・建物を売却しようとすると、前提として、相続登記をする必要があります。
相続登記をしないまま、次から次へと相続が発生すると、この前提登記をするのに、非常に手間がかかり、困難を極めます。
そうなる前に相続登記をしておくことをお勧めします。
Q3:先日、父親が亡くなりました。財産はほとんどなく、借金があるようなのですが、支払わないといけないのでしょうか?
A:相続は被相続人(亡くなった方)のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も承継することになります。
そこで、相続放棄という手続きにより、一切の財産を放棄することができます。この手続きをするには、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出し、
受理されることが必要です。
しかし、この手続きは、自分のために相続が発生したことを知った時から3か月以内にしなければなりません。
3か月を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は出来ず、すべての財産を承継することになりますので、早めに相続放棄手続をすることをお勧めします。
Q4:相続放棄って自分だけすれば良いのでしょうか?
A:自分だけでは出来ない訳ではないのですが、相続放棄をすると次の順位(Q1参照)に相続権が移ります。
例えば第1順位の相続人の全員が相続放棄をすると、第2順位へ・・・と言う形です。
なので、自分が相続放棄をする場合、必ず他の順位の相続人に連絡するようにしてください。
Q5:夫が病気で亡くなりました。子供はまだ小さいので、自宅を自分の名義にしたいのですが。
A:遺産分割協議によって、名義を変えることはできますが、その遺産分割協議をするときに子供を代理する特別代理人が必要となります。
親と未成年の子供が相続人となる場合、親が代理人となると、親が自分の有利になるように遺産分割をすることが考えられます。
そこで、子供の利益のために、家庭裁判所に対して、特別代理人の選任申立をする必要があります。
なお、未成年の子供が数人いる場合、未成年の子供の数だけ特別代理人が必要となります。
Q6:共同相続人の中に認知症の人がいるのですが、どうしたら良いですか?
A:成年後見制度を利用することになります。判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、
その制度によって選任された後見人・保佐人・補助人が遺産分割協議に参加することになります。
保佐人・補助人の場合には、遺産分割協議についての代理権を与える旨の審判を家庭裁判所に対して申立てる必要があります。
Q7:共同相続人を後見人候補者にしたいのですが、可能ですか?
A:可能です。ただし、その候補者の方が選任された場合で、後見監督人が選任されていないのであれば、後見人と被後見人の間で利益相反しますので、
家庭裁判所に特別代理人の選任申立をすることになります。
Q8:共同相続人の中に行方が分からない人がいます。無視しても良いですか?
A:共同相続人の中に行方不明者がいる場合でもその方を除いて遺産分割協議をしたとしても無効です。この場合、家庭裁判所に対し不在者財産管理人の選任を申立て、
更に権限外行為の許可を申し立てることになります。
Q9:私が死んだ場合、すでに亡くなっている養子の子供は相続人になりますか?
A:養子の子供が、あなたと養子の養子縁組後に生まれた子供であれば代襲相続人となります。しかし、養子縁組前に生まれていた場合には、その子供は代襲相続人になりません。
Q10:胎児は相続人になりますか?
A:胎児は相続人となります。ただし死産だった場合は相続人となりません。
Q1:自分で遺言書を書きたいのですが、どのような点に注意をする必要があるでしょうか?
A:ご自分で遺言書を書く場合、自筆で、その内容全部と日付・名前を書き、押印する必要があります。
自筆 | 代筆やパソコンで打ったものは認められません。 |
日付 | 吉日等は使えません。遺言書の書かれた日が特定されている必要があります。 |
訂正 | 訂正をした場合、その場所に印を押し、遺言書の欄外に変更した場所を指示し、変更した旨を付記して署名をする必要があります。 署名をする必要があることに注意してください。 |
署名・押印 | 署名押印は忘れずにしてください。署名については、通称や芸名等でも遺言者が特定できれば良いとされています。また押印は実印でも認印でも構いません。 |
その他 | 鉛筆等の年月の経過により消えてしまうもので書かないようにしてください。また、封印もしておかれたほうが良いと思います |
Q2:封印された遺言書を発見したのですが、どうしたら良いですか?
A:相続が開始した地(亡くなった方の最後の住所地)の家庭裁判所に遺言書検認の申立てをしてください。
家庭裁判所の検認を待たずに封を開けた場合には、5万円以下の過料に処せられますので、勝手に開封しないようにしてください。
Q3:内縁の妻に遺産を残すにはどうしたら良いですか?
A:事実上の配偶者(婚姻届を出していない)に遺産を残すには遺言書を書いておきましょう。
ただし、遺産のすべてを内縁の妻に遺贈するというような内容ですと、法定相続人が良い思いをしないと思いますので、
ある一定の部分の遺産を残すような内容の遺言書を書くことをお勧めします。
Q4:公正証書を作りたいのですが、病気を患っているので、自宅まできてもらうことはできるのですか?
A:公正証書遺言の作成のために公証人に自宅まで来てもらうことは可能です。
ただし、その場合、通常時よりも費用が掛かります。詳しくは公証人手数料のページをご参照ください。
Q5:自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットを教えてください。
A:
【公正証書】
◎メリット
・原本が公証役場に保管されるため、遺言書が無くなったり、捨てられたりする危険がない。
・遺言書実行の際、家庭裁判所での検認が不要なので、相続人に手間がかからない。
・形式不備による無効がない。※公正証書遺言が、いかなる理由によっても無効にならない訳ではありません。
・病気等により文字が書けない場合でも、公証役場で口述することにより遺言ができる。
△デメリット
・費用が掛かる。
・公証人と証人には内容がわかるので、完全に秘密にすることはできない。
【自筆証書遺言】
◎メリット
・費用がかからない。
△デメリット
・形式不備や遺言内容の不明確等により、争いとなる事がある。
・自分で保管するため、無くしたり、慎重に保管しすぎて、相続人が見つけられないことがある。
Q6:遺留分とは何ですか?
A:遺留分とは、法律の定めにより一定の相続人が最低限の割合のことです。
①直系尊属のみの場合・・・相続財産の3分の1
②その他の場合・・・相続財産の2分の1
③兄弟姉妹・・・無し
Q7:遺留分を侵害している遺言は無効ですか?
A:遺留分を侵害している遺言も無効ではありません。
遺留分を侵害されている相続人から請求(遺留分減殺請求)を受けた場合に、遺留分の限度において遺言が否定されることになります。
Q8:遺留分減殺請求はどのようにすれば良いですか?また、期限はありますか?
A:遺留分減殺請求の形式に決まりはありません。相手方に意思表示をすれば良いです。
ただし、証拠を残すためにも内容証明郵便等で行いましょう。
遺留分減殺請求権の時効は相続の開始および遺留分の侵害があったことを知った時から1年、または相続の開始から10年です。
Q9:遺言は撤回できますか?
A:できます。自筆証書遺言の場合と公正証書遺言の場合で異なる部分もありますが、遺言と異なる生前行為
(例えば長男に相続させる遺言を作っていたが、別の方に売却した)を行った場合には、どちらの遺言も、「その部分」に関して撤回したものとみなされます。
他に自筆証書遺言の場合、破棄する・撤回する旨の遺言を作る・新しい日付の遺言を作る(この場合、内容が抵触する部分は新しい日付の遺言が優先します)ことですが、
ややこしくなるだけですので、撤回した遺言を破棄したうえで、新しい遺言を作ってください。
公正証書遺言については、自分の保管している公正証書遺言を破棄しても、原本が公証役場で保管されていますから撤回とはみなされません。
ですから、公正証書遺言を撤回する場合には、撤回する旨の遺言を作る・新しい日付の遺言を作ることです。この遺言については、公正証書遺言でも自筆証書遺言でも構いません。
Q10:遺言は誰でもできますか?
A:満15歳以上の方で遺言の内容が理解できる能力(遺言能力)のある方であれば可能です。
ただし、成年被後見人の場合、遺言を作るときに物事を判断する能力が回復しており、
医師2人以上の立会がある場合に限り遺言をすることができます。また、ご高齢の方が遺言を作成し、
その遺言の効力が争われた場合に、認知症等で遺言能力がなかったなどとして無効となることもあります。
医師の診断書等をもらっておく等の対策が有効でしょう。